ミルク割り人形 深沢さん×コイさん対談

今回のデビューにあたって、深沢さんとフォレストスタッフ・コイさんが対談しちゃいました!
コイさん(以下「コ」):いよいよ深沢さんの作品が商業誌に掲載されることになりましたが、今の率直な気持ちを教えてください。
深沢さん(以下「深」):不思議、です。もちろん嬉しいんですが、なんていうか、すごいなぁと半ば他人事のように感じちゃいますね。いつの間にこうなったんだろうって。不思議です。

コ:最初のコンタクトは確か金熊賞エントリーのご連絡をしたんですよね。金熊賞候補の連絡をもらった時の印象を教えてください。
深:わぁ、金熊賞ってほんとにあるんだ、と(笑)。存在はもちろん知っていたんですが、自分には全く関係ない話だと思っていました。だからびっくりしましたね。Empty Insideが、当時フォレストページの中でアクセス数がトップだと知ったのもこの時です。嬉しかったですね。

コ:でも結局金熊賞を辞退された、と…。金熊賞を辞退された理由を教えてください。
深:連絡を頂いたのは2007年の12月だったんですが、私は2007年の4月か5月には、Empty Insideを2008年に閉鎖しようと決めていました。これは、携帯小説は終わりにして、出版社に小説を応募し始めたいと思ったからなんですが。近々閉鎖する予定のサイトが、そんな風に目立っては駄目だろうと思って、辞退させて頂きました。

コ:その後改めて「書籍化に向けて動きたい」という連絡をしましたが、その時の印象を教えてください。
深:頂いたメールの件名は「フォレストページです」だったんですが、「間違いなく悪戯だ」と最初は思いましたね(笑)。まさか、サーバーの管理会社の方から直接連絡がくるとは思っていませんでしたから。だけど正真正銘コイさんからのメールだと分かり、しかもその内容が書籍化に関するものだったので、驚いたと同時に、とてもありがたく思いました。

コ:2007年といえば、世間でも「恋空」とかの携帯小説がまだもてはやされている時期でした。当時の携帯小説ブームについてどう思っていました?
深:正直に言って、自分には無関係だと思っていましたし、関係したいとも思っていませんでしたね。

コ:確かに深沢さんの小説は携帯で読んでも「携帯小説」という感じがしないですよね。
深:そうですね。携帯小説の書き手である前に、私は、普通の……、つまり、携帯小説ではない小説の読み手だったから、だと思います。携帯小説をネット上で読んだことはありますが、最後まで読める内容のものはほとんどありませんでした。ネット上で公開するのならばとにかく、それらを書籍化することにはすごく違和感を覚えていました。

コ:商業誌に自分の作品が掲載されるまでの間、印象に残っていることはなんですか?
深:読者の方々の反応ですね。閉鎖の発表をしたり、書籍化の発表をしたり、けっこう状況がころころ変わることが続いて、「そろそろ読者の方々も呆れるんじゃないか」とか、「怒られるかもな」とか覚悟してたんですが、頂くコメントのほとんどが「応援します」「待ってます」という内容で。自分は幸福だと思いましたし、読者の存在とはすごいなって思いました。

コ:結果的に、商業誌の掲載まで1年以上経ってしまいました。掲載されるまでの期間、どう感じていましたか?率直な印象を教えてください。
深:自分は書き続けてればいいだろう、と思ってました。それだけです。

コ:自分の掲載がコバルトに決まった時、率直にどう感じました?
深:コバルト文庫は小・中学生の頃によく読んでましたから、嬉しかったですね。

コ:自分の作品が商業誌に掲載されるのは、どのような気持ち・感覚なんでしょうか?
深:んー……。どうなんでしょう? 変な感じですよ。自分のことなのに、ちょっと遠くに感じます。たぶん、実感が湧いてないんでしょう、この期に及んで(笑)。

コ:これからも携帯小説は書きますか?
深:あまり書かなくなるでしょうが、Empty Insideから全てが始まったんだし、サイトにも愛着が湧いていますし、ちょこちょこ更新はすると思います。

コ:文芸界で活躍していくと思いますが、深沢さんの「文芸界での夢」ってありますか?
深:いえ、まだありません。ちゃんと書き続けようと思うだけです。

コ:コバルト掲載にあたってかなり作品の修正が入りましたが、やっぱり大変でした?
深:横書きを縦書きにしたので、時間はかかりましたが、それよりも、自己紹介のほうが大変でした。恥ずかしいというか。作品が掲載されるのはいいとして、深沢仁は掲載されなくてもいいんじゃないかって(笑)。そういう意味では、この対談もちょっと大変ですね(笑)。

コ:掲載料が出ると思いますがその印象は?
深:「仕事」になったんだなぁと。

コ:出版社に行ったのは初めてだったと思いますが、その時の様子について教えてください。
深:自分、場違いだなって思いましたね(苦笑)。雑誌が積み重なっていて、いつも電話のベルか誰かの怒鳴り声が響いてる、みたいな、そんな空間をイメージしてたのに、通された場所はものすごく綺麗で。あ、駅で、コイさんが迷ったことも印象に残ってますよ、きちんと(笑)。

コ:あー神保町の駅構内でかなりアタフタしてましたね(笑)集英社の担当者さんの印象は?
深:声と喋り方が素敵な方だと思いました。ちょっと謎めいてる方だなと……。いい意味で、です。

コ:その他、集英社さんとのやりとりなどで印象に残っていること、感じたことなどをざっくばらんに教えてください。
深:あんまり覚えてないですね……。それなりに緊張していたのかも。でもとても楽しかった記憶はあります。

コ:そもそもなんでフォレストで小説を書こうかな、と思ったのですか?
深:広告ページがうるさくない、という評判だったので。

コ:フォレストのブックの良さについて教えてください。
深:さっぱりしているところです。無駄な装飾がない。分かりやすいし、読みやすい

コ:じゃあ逆にフォレストのブックの悪いところは?
深:特に不満はありませんでした。お世辞ではなく(笑)。ただ、もっと飾りたい人にとっては、フォレストブックのシンプルさは悪いところなのかもしれませんね。でも私は、シンプルだからこそ、フォレストページを使わせて頂いてます。

コ:フォレストでブックを書いていて「良かったな?」と思うことは?
深:読者の方々から反応を頂けるときですね。

コ:もし「魔法のiらんど」で小説を書いてたらどうなってたと思います?
深:すごいことを聞きますね。さぁ……、想像もつきませんが、今より良い状況になることはなかったでしょう。もっと早くに携帯小説から引退していたかもしれません。

コ:その他、「携帯向けホームページでブックを書く」ことの意味について、深沢さんなりの意見を聞かせてください。
深:ホームページ上で書くことは、悪いことではないと思います。他者への発信を行うのにこれ以上に手軽で、貴重な場はないでしょう。ですが、書籍化を目指して活動するのは、個人的には好ましくない行為だと思います。結果的に商業誌に掲載することになった私が言っても説得力がないかもしれませんが。「携帯向けホームページでブックを書く」ことの意味は、「携帯向けホームページでブックへの感想を受け取る」ことであり、それ以上は望むべきではない、少なくともそれ以上を目的にしてはいけない、と思います。

コ:最後に、今フォレストページで小説を書いているユーザーさんにメッセージをお願いします。
深:私には、書き続けて下さい、としか言えません。それは唯一、私がしてきたことだし、これからもしていくことだからです。

ミルク割り人形
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